メディカル・アート研究所

辛島式イオン泳動治療装置

辛島式イオン泳動治療法の原理と考察

「イオン泳動法」とはiontophoresisの略語で、日本ではかなり以前から「イオン導入法」として種々試みられて来た方法である。その基本原理は本来「電気化学」として基礎的な学問分野での長い歴史があり、一般産業界でも広く応用されて現在に至っている。例えば、電気分解として海水より塩素や水酸化ナトリウムの製造、銅や亜鉛、金、銀の精錬や電気メッキ及び各種電池の製造等に身近に広く利用されている分野である。

そして、その原理を医療の方へ応用しようとして様々な「イオン導入法」の研究もおこなわれてきた。辛島式イオン泳動治療法もその一つである。

その目的は人や動物の表在性の感染症に対して、その皮膚や上皮を通して有効な薬剤のイオンを電気回路を作って直流電圧を加え、その電気エネルギーを使用して生体の感染病巣を通過させて有効な治療効果を得ようとするものである。その為の条件として、有効な薬剤を水に可用性の形にして、水中で電離してイオンの状態になるものを用いる必要が有る。普通の抗菌物質や、消毒薬等を水に可溶性の形に製剤すれば、理論的には多くの薬剤が使用可能且つ有効と考えられる。ところが実験を始めた当初、それらの期待に反してテストをしたほとんどの薬剤において実用になるほどの有効性は得られなかった。電流計が予定通り動いているので、イオンとして生体組織へ移動しているのは間違いないのに、結果は全くの期待外れであった。その理由は当初は全くわからなかった。しかしテストをした薬剤の中で唯一の例外として、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤については期待以上の劇的な効果を発揮した。今までの長年の臨床経験で見たことのない即効的な効果が見られた。例えば歯周病の治療に用いた場合を例に取れば、炎症の3大兆候と云われてきた(1)発赤(2)腫脹(3)疼痛の3症状が分単位の間に消退し、疼痛が場合によっては瞬時に消滅する例さえ見られた。

こういった経過から、薬剤としてカチオン界面活性剤及び両性界面活性剤のみに限って有効でありこれに反して、他の薬剤では全く効果がないのは何故か?現在その理論的根拠として考えているものは次の通りである。

1)
イオン泳動法に用いる場合は薬剤がイオンとして電荷を帯びた状態で使う訳だから、イオンとして必要な薬理効果を発揮する必要が有る。したがってこの界面活性剤はともに陽イオンとして消毒効果を発揮するのがその特徴とされており陰イオンの状態では消毒効果を発揮しないとなっているので、これを陽極の電解液として作用させれば陽イオンとして、組織内に移動して効果を発揮するものと考えられる。他のほとんどの薬剤は塩類として水に溶けて電離してもイオンとして薬理効果を発揮するとは限らない。 電気化学の基本原理には「電子のやり取りには、必ず物質の変化を伴う」とされている。したがってイオンの状態で有効な薬剤を用いれば有効である可能性があるが、今のところそのようなものは他に見当たらない。
2)
電極を用いて、薬剤のイオンを対極へ移動させる場合の反応は通常電解反応(電気化学反応)と呼ばれるが、これは電極の界面から対極の界面へとイオンが移動するのであって、その途中に生体の病変部があっても、ただイオンはそこを通過するだけであってその場所に貯留するのではない。それを「薬剤輸送システム」と考えるのは適当ではない。したがって、病変部を薬剤イオンが通り抜けるその瞬間に必要な治療効果を発揮しなければ、有効性を発揮できないものと考えられる。即ち病原微生物の遺伝子構造や、酵素なりを瞬時に破壊してイオンが通り抜けるのではないかと予想される。

歯科歯周病の治療法として長年に渡る臨床研究に加え、最近は動物の難治性皮膚感染症の治験例やヒト臨床研究において褥瘡の治療に用いて他の治療法では見られない高い有効性を示している。今後、界面活性剤のイオン導入がバイオフィルムの破壊に関与しているのではないか等多角的にその作用機序の解明に努める必要があると考えている。

2008年10月18日

辛島 宣美

特許一覧 ※これらの特許はメディカル・アート研究所設立時に権利を放棄しました

イオン泳動式治療装置

公開番号
2004-283330
特許番号
第3493359号
出願人
辛島宣美
発明者
辛島宣美
発明の概要
患部への薬液の量を増加して治療時間を短縮し、治療効果を高め且つ治療時の両電極版の取り扱い性を高めたイオン泳動装置。

イオン泳動式皮膚感染症治療装置

公開番号
2014-221095
特許番号
第5463511号
出願人
株式会社 メディカル・アート
発明者
辛島宣美
発明の概要
イオン泳動によって褥瘡等の患部の略全体に薬液を効率よく浸透させることの出来るイオン泳動式皮膚感染症治療装置。

IONTOPHORESIS-BASED MEDICAL DEVICE(米国特許)

特許番号
7920175
出願人
Karashima Nobuyoshi
発明者
Karashima Nobuyoshi
発明の概要
An iontophoresis-based medical device includes a positive and a negative electrode section, a power source supplying an electric current and a controller controlling the current value and conduction time of the electric current.